半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

未来の年表

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司,講談社現代新書)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062884310

少し前、最近はこんなのが売れてるのかー、と手に取ったところ、
目次に掲げられた「これから起きること」に興味を引かれたので、読んでみました。

わりとおもしろかった、というか、参考になりました。
人口減少社会の一つの側面が『地方消滅』だと思いますが、
この本はまた別の側面を示します。言うなれば、高齢者多すぎ社会。

高齢者の割合が5%増えるとして、
人口1万人の自治体では500人の増ですが、
人口10万人の自治体では5000人の増。
増分を実数にすると、イメージがだいぶ異なってきます。器、用意できるのかな。

少し前、産科医が少なくて、お産難民なんて言葉がありましたが、
この先、火葬場が足りなくて、火葬難民が出るかもしれないんですね。

自治体の将来構想・長期計画を考える上でも、持つべき視点になるでしょう。
(現に担当の方は、もう実感があるかもしれませんが)

なお、本書の第2部、処方箋(提言)に関しては、まあ、うん(そっと閉じ

ここはやはり、1960年代の地球から若者を連れてくるぐらいしないと……

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バッタを倒しにアフリカへ

『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎,光文社新書)
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039899

本書は、人類を救うため、そして、自身の夢を叶えるために、若い博士が単身サハラ砂漠に乗り込み、バッタと大人の事情を相手に繰り広げた死闘の日々を綴った一冊である。 (まえがきより)


ネットで話題に上っていたので買ってみましたが、ちょっと読み始めたら、もう一気でした。
バッタの学術的な解説よりは、異文化の体験記、ポスドクの奮闘記でありましたが、適度な自虐と、適度な人情噺に、すっかり引き込まれてしまいました。おもしろい(そして、この文章力をつけた経緯がまたおもしろい)。

だいたい、序盤から
>ちなみに、この本では度々余談をして話の腰を折りまくる予定です
という具合だし、中盤の
>バッタの馬鹿! もう知らない!
には、ニヤニヤを禁じ得ない。非っ常ーに、私好み。

そして、終盤、ネタバレしないように伏せますが、
>p.261 8-9行
>同 12行
の連打には、まいりました。いや、状況としては深刻なんですけど、元ネタがわかってしまったので、吹いてしまいます。草不可避。
(ついでに言えば、写真のキャプションもちょいちょいユニークで、p.260のなんか、もう)

そんなこんなで、たいへん楽しませていただきました。
読み終えてみれば、「天は自ら助くる者を助く」だなあ、という感想もありますが、この先、存分に研究できることを陰ながらお祈りいたします。
筆者の活躍がアフリカを救うと信じて…!



研究者ということで、ついでにこれも。

『研究するって面白い!』(伊藤由佳理編著,岩波ジュニア新書)
https://www.iwanami.co.jp/book/b266377.html

女性科学者による研究案内。中高生向け。表紙が賀茂川さん(京都市営地下鉄の方)だー、ということで手に取ったのですが、中身も割と興味深いものでした(知らない方面ほど興味が湧く)。人生いろいろですね。

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王様の仕立て屋

ワタクシの好きなマンガ、

『王様の仕立て屋』(大河原遁,ヤングジャンプコミックス)
https://www.cmoa.jp/title/37070/vol/1/

が期間限定無料で読めるとのこと。(Kindle版も)

ナポリ風の仮縫いを重ねる様に、例規審査を重ねたものさね。
1巻では、
>シンデレラもドレスがなくちゃ舞踏会で門前払い食っちまうんだ
 王子様の目が届く所まで自分で歩いて行って(略 (p.112)
のくだりと、
>カビ臭い技術見せてやるぜ(p.177)
のセリフが好き。いやまあ、全部好きですけどね。
この機会に、ぜひぜひ。


あと、同じくワタクシの好きなマンガ、

 エンジェル伝説(八木教広,ジャンプコミックス)
 https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028833007

もWEBで読めます。今からだと何話か欠けちゃうけど、よろしければどーぞ。

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神様がうそをつく。

『神様がうそをつく。』(尾崎かおり,アフタヌーンKC)
http://afternoon.moae.jp/lineup/187

「誰にも言わないで--」
11歳の夏。
君の秘密を、僕は守る。

転校先の学校で、同級生・理生の秘密を知ったなつる。
少年と少女の、幼い恋と冒険の物語。


これ、すごく好きなんですよ。

ネットで、おすすめマンガの記事を見ることがありますが、この作品が入っているかどうかで、信憑性を測るくらい。

ひょんなことから、少年が少女と秘密を共有することになって、それで親しくなって、でもその先に--という話。
話自体は、ネグレクトも絡んで、まあ辛い話なんですけど、悲劇の中で光る美しさ、ていうのかな、そういうものを感じます。

ネタバレなしで魅力を伝えるのが苦手なので、このへんにしておきます。
なお、長らく紹介しそびれていたので、もう店頭には並んでいないかもしれません。すまぬ。



(以下、やや踏み込んだ感想)



男の子には、「女の子を守りたい回路」がついているのだろうか。ほかの作品でも思ったのだけど。

好奇心
好意

愛。

恋というのは、相手とのつながりを持ちたいとかいう「欲」だと思うけど、
相手をまるっと受け入れるというのは、もう愛なんじゃないかな。欲を超越した。

なつるの、理生(りお)に対する感情は、もう、そういうレベルだと思う。
理生が、
>私たちの××になってくれるなんて
と言ったところにも、それが表れているような気がする。
「××」って、恋を表す言葉じゃないからね。

さておき、
子どもは子どもなりの精一杯を生きようとしている。
少なくとも、そういう話ではあります。
話の筋が合わなくても、味わいようは、あるかと。

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東雲侑子は短編小説をあいしている

ほぼ5年前に書いたものなので、最近の記事と筆致が少し違うな。(当人比)


『東雲侑子は短編小説をあいしている』(森橋ビンゴ,ファミ通文庫)。

何事にも無気力、無関心な毎日を過ごす高校生、三並英太。楽そうだからという理由だけで図書委員になった彼は、ともに委員を務める東雲侑子の熱のない静けさに、自分の空虚さに似たものを感じていた。しかし偶然彼女の秘密を知ってしまったことから、自分との違いを思い知らされる英太。だが、その秘密のために、彼女と距離を縮めることとなり、失ったはずの感情に胸を締めつけられていく…。早熟な少年少女に贈る、もどかしく苦いラブストーリー。


「もどかしく苦いラブストーリー」ですかそうですか、と手に取り。
口絵の最後、「俺は一体、東雲とどうなりたいっていうのだろう。」という引きにそそられて購入。
まあ、帯には、「正直な話、もう認めざるを得ないと思う。俺は--東雲侑子の事が好きなのだ。」と書いてあるのだけど。

ええ、本当にラブストーリーでした。
超能力も魔法もドタバタもなし。モテまくることもないし、パ○ツも見えない。
一人の少年が、だんだんと少女を好きになっていく、そんだけ。

そんだけなんだけど、くそう、なんでこんなにいいのよ!
どうしてこう、何度もページを開いては、読み返してしまうのだろう。
正直な話、もう認めざるを得ないと思う。私は--この2人を応援したいのだ。
若いっていいなあ(遠い目



(以下、読んだ人向けにもう少し感想)



各章ごとに、少しずつ変わっていく構成のために、自然と感情移入できるのでしょうね。
有美さんが、そのモノサシになっているように思います。

しかしまあ、2人の不器用さが、かわいい。
ほんと、じわじわくる。
手をにぎるだけのシーンで、ドキドキしてしまった。こういうのは、なかなかない。

反面、ラストの侑子の「ああいう暴走」は、ちょっとなーと思いました。
少年は、がんばったよ、うん。

あと、作中作である『ロミエマリガナの開かれた世界』は、うまいなあと思いました。

強いて難をいえば、この巻のラストは、なんとなくぼんやりしています。
いくつかの疑問も残ります。侑子はいつから好きだった? とか。

ただ、その辺は、次巻で語られるので、そちらで。(最終的には三部作です。)

ところで、このシリーズ、9nineの『Cross Over』がすっごくイメージ合うんですけど、どう?
(公式ならリンクを貼ってもよかろう)
https://www.youtube.com/watch?v=nx5Kwxb3MiY


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読者と主人公と二人のこれから

『読者と主人公と二人のこれから』(岬鷺宮,電撃文庫)
http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892603-4/

愛読書の主人公(少女)が、現実に現れたら?
から始まるボーイ・ミーツ・ガール。
(実はその本のモデルだった、ということで、ファンタジーではありません)

話は、地味に、じわじわと進みます。
その先のほろ苦さは、いいねえ。大好物よ?
この設定ならではの、「理由」であって、主人公が抱いた「怖れ」はよくわかる。

人にプッシュするかどうかはともかく、私は気に入った。

ちなみに、読んでいて『東雲侑子』シリーズを思い出しました。
作中作が仕事するところも、共通点かな。



ついでに。

『追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ』(田辺屋敷,ファンタジア文庫)
http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321610000800
http://fantasiataisho-sp.com/winners/ps/

>二学期初日。空虚な日々を送っていた俺、篠山マサキは混乱した。慣れた様子で教室へ突然現れたのは、俺の記憶にだけ存在しない少女。

知らない少女が現実に現れたら?
から始まるボーイ・ミーツ・ガール。
(なのでリアルものではないですね)

こんな話になるとは思わなかった、というのが感想。
終盤が特に。
読後感、よし。とういうわけで、これもよかった。

追伸 この記事を書いていて、続編が出ることを知りました。単巻できれいに落ちていて、続編向きには思えなかったので、意外。大丈夫かな。

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はじめての自治体法務テキスト

『はじめての自治体法務テキスト』(森幸二,第一法規)
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/102757.html

ぎょうせい刊の『自治体法務の基礎と実践』と同工異曲的なものですが、
あちらが講義の再録的な趣であるのに対し、こちらはテキスト然とした体裁です。
(テキストなんだから当然か)
図表も充実していると思います。いっそうわかりやすい。

特に、8章「自治体の組織のしくみ」の、機関の説明などは、感覚的にわかりづらいところを、ていねいに説明していると感じました。これで「すっきりわかる」人もいるのではないでしょうか。
(ただ、「市」と「市長」の違いに意味はないなどと言われると、個人的には
(´・ω・`) となりますが)

基本的に良書と思う一方、前著と同様、純粋な初心者向けではないと感じます。
現にいる職員に対して、仕事を見直させるもの、といった感じです。
前著もそうでしたが、「君たち何やってんの」と責められている感がですね、ワタシら出来が悪いものですから、気になるといえばなる。
でも、だからこそ、日頃の事務における法的な考え方というものが伝わりそうとも思います。通り一遍の解説だと、実務とつながりにくい面がありますから。

とまあ、そんな具合でしたので、みなさま、お好みの方を(あるいは両方とも)、どうぞ。

追伸 編集さん、図表での誤植はチェックしてあげないと。

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手話を言語と言うのなら

更新滞ってすいません。地獄に付き合うの、私だ。


『手話を言語と言うのなら』(森壮也・佐々木倫子編,ひつじ書房)
http://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-89476-829-1.htm

「手話を言語と言うのなら」

印象的かつ的確な言い回しだと思います。
私が抱えるモヤモヤをも表現してくれる、かのような。

本書は、日本手話の立場からの本です。
先日触れた、朝霞市の話も入っていました。

内容は、いろいろと参考になるとともに、条例化に求められる覚悟は半端なものではないな、と感じました。条例があるのが大事、では済まない。
また、条例化は、内容的に都道府県マターかな、とも思いました。教育・教員が問題となるならば。

読みたいものを読む、という私の確証バイアスを満足させる本でしたが、さて、反証側のいい本は、あるかな。

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新 法令解釈・作成の常識

『新法令解釈・作成の常識』(吉田利宏,日本評論社)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7416.html

法学セミナーで連載されていたものが、ようやく、ようやく発刊となりました。
『新法令用語の常識』とあわせ、手元にそろえておきたい、おくべき一冊と思います。

連載終了時にも書きましたけど、法律だけでなく、条例等にも触れているところがいいところです。

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青の数学

『青の数学』『青の数学2』(王城夕紀,新潮文庫nex)
http://www.shinchosha.co.jp/book/180072/
http://www.shinchosha.co.jp/book/180082/

数学に挑む高校生の物語。
ラノベかと思ったら、そうじゃなかった。
無印、2、とありますが、実質的には上下巻です。
なお、数学がわからなくても本筋は楽しめるようになってます(と思います)。

数学とは何か
なぜ数学をするのか
数学を続ける意味は

割と多い登場人物がいて、いろんな角度から、少しずつ炙り出されていく。
数学の話をしていると思ったら、いつの間にか青春の話になっていました。

圧倒的な才能の前に自分はどうするのか
勝ち負けとは
何かを続ける意味は

なるほど、確かにこれは青春小説だ。
数学の話は話としてちゃんとあるけれど、数学以外の何かにも通じる話でもある。

そうだなあ、例えば、法務・例規に通じた人(この界隈は10年選手も珍しくない)を前に、私なんかは太刀打ちできる気はしないわけですよ。じゃあ、去るべきなの? なぜ職を離れた現在も興味を持ち続けているの?
自分に照らしてみて、ふっと落ちたものがある。ああ、そうかと。

そんな、意外な気づきをもたらしてくれたこの本は、私にはよかった。
私もまだ青春してるのだな。

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