半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

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バイナリ畑でつかまえて

『バイナリ畑でつかまえて〈新版〉』(山田胡瓜,スタンダーズ・プレス)

『AIの遺電子』の作者さんによる掌編集。
書店の店頭で紙の本になっているのが目に入ったので買いました。

IT技術を通じて人間を描き、何とも言えぬ余韻を残す。
一編2、3ページなのですが、紛れもなく『AIの遺電子』と共通の味わいです。
というか、この2、3ページを16ページに延ばしたのが『AIの遺電子』か。

表題作「バイナリ畑でつかまえて」は32ページ。
感想は、月並みですが、

あ、待って、これヤバイやつだ、死ぬ。

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原課職員のための自治体財務

『原課職員のための自治体財務』(塩浜克也,第一法規)

自治実務セミナーでの連載が本になったとのこと。
連載時と比べてみると(みるのかよ)、図表の追加、アップデート、そのほか文面もちょいちょい手が入っていて、流れがよくなっています。

財政の話は、身も蓋もないことを言うと、やさしくなれない。
性質別分類、財政指標、単位費用、地方財政計画(の図)あたりが典型的ですが、一つひとつ理解するしかないです。
です・ます調にしたところで、内容は、変わりも、やさしくもならない。

そうした中で、内容に興味を持たせる、読む気にさせるとしたら、語り口とか小ネタのはさみ具合とかがものをいうのであって、その辺が、塩浜さんならではですね。
公契約条例、夕張市の会計処理、補助執行、庁内の自動販売機など、関連する話題の広がりがあるのも、類書との違いとなっていると思います。
ツイートによれば、財務を法務から説明する、というのが目的のひとつだったそうですが、そうした姿勢が表れているのでしょう。

法的視点といえば、同じ第一法規の『自治体職員のための文書起案ハンドブック』が思い出されます。同書も、法的視点が特徴の良書です。本のサイズも一緒ですし(ワザと?)、文書と財務、セットでそろえてはいかがでしょうか。

と、このような感想を添えて、宣伝応援させていただきます。

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惑いの森

『惑いの森』(中村文則,文春文庫)読了。

一般的な文芸作品にはあまり手を出せていませんが、
ネットの某所で書名を見かけて、手を出してみました。
(機会をくださってありがとう)

奇妙な話たちが50篇。ほぼどれもが、“どす黒い何か”を感じさせます。
作家の中にある狂気、というよりは、世間にある“どす黒い何か”を物語に織り込んでみせた、というところなのでしょうか。

格別気に入った作風ではありませんが、肌には合っているんだろうな。
世間には至る所に悪意が潜み、僕は生き難くてしかたがない。(と思ってしまうので)

そんな魅力のある作品集でしたが、一番気に入ったのは、「Nの逮捕」でした。
作者さん、ごめんね。



未知との出会い、という意味では、半年ほど前に読んだ

『十年交差点』(中田永一、白河三兎、岡崎琢磨、原田ひ香、畠中恵,新潮文庫nex)

は、なかなかよかったです。
白河三兎さんがお目当てでしたが(以前、この人の作品で死にそうになった)、やはり無事では済まなかった。収まりの悪さがパない。
他の作品もそれぞれに味があって、作者に興味が持てるものでした。



ちなみに最近の査収物。いつ読むかは知らない。

『行政学講義』(金井利之,ちくま新書)
『脳の意識 機械の意識』(渡辺正峰,中公新書)
『不死身の特攻兵』(鴻上尚史,講談社現代新書)
『最後にして最初のアイドル』(草野原々,ハヤカワ文庫) ←買いましたが何か?

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BEAST COMPLEX

『BEAST COMPLEX』(板垣巴留,少年チャンピオンコミックス)

これを待っていたーーー!!!

ラクダとオオカミ の話がめっちゃ好きやねん。

短編の方が世界観をよく出せるんじゃないかな。

これで期待したBEASTARSは、現在、ちょっと微妙。悪くはないんだけど。



紙面が余(以下略

某小職さんへ捧ぐ

 画面を走る 改めの列
 黒くゆがんで 真赤に燃える

「いい眼をしているな。(懐に握りしめたワークブックを確認しながら)度胸もいい。ますます気に入ったよ」

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地方創生大全

『地方創生大全』(木下斉,東洋経済新報社)
https://store.toyokeizai.net/books/9784492212257/

地方が抱える問題を「ネタ」「モノ」「ヒト」「カネ」「組織」の5つに体系化。
28もの「問題の構造」を明らかにし、明日から取り組める具体的な「再生の方法」を提言する。


少し前に読了。
地方の再生は持続可能な方法であるべし、という至極まっとうな御指摘。
補助金頼みではダメ、と。
まあ、普通にいい内容でした。



まちおこしに、何かいいアイディアはないか、目玉がなければ作ればいいか--
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
しかし同時に、シロウト考えがどこまで通用するのか? との疑念もあり、
根拠のない自信は、だんだん持てなくなったものです。
「公務員はプロなんだから(考えろ)」というセンセイもいらっしゃいますが、
確かにプロではありますけど、経営的にもプロでもあるかというと、なかなかね。
優れた「民」を待つ・探すのがよいようにも(それもなかなかですけどね)。

いっとき、「都市間競争」なんて言葉が流行ったことがあって、
今日日、優劣があっても、まさに望んだセカイじゃないのか、とも思うのですが、
そこに、全自治体に創生戦略とは、これ如何に。



蛇足(元ネタあり)

地方創生で成功する秘訣は二つある。
一つは大事なことを人に話さないことだ。

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未来の年表

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司,講談社現代新書)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062884310

少し前、最近はこんなのが売れてるのかー、と手に取ったところ、
目次に掲げられた「これから起きること」に興味を引かれたので、読んでみました。

わりとおもしろかった、というか、参考になりました。
人口減少社会の一つの側面が『地方消滅』だと思いますが、
この本はまた別の側面を示します。言うなれば、高齢者多すぎ社会。

高齢者の割合が5%増えるとして、
人口1万人の自治体では500人の増ですが、
人口10万人の自治体では5000人の増。
増分を実数にすると、イメージがだいぶ異なってきます。器、用意できるのかな。

少し前、産科医が少なくて、お産難民なんて言葉がありましたが、
この先、火葬場が足りなくて、火葬難民が出るかもしれないんですね。

自治体の将来構想・長期計画を考える上でも、持つべき視点になるでしょう。
(現に担当の方は、もう実感があるかもしれませんが)

なお、本書の第2部、処方箋(提言)に関しては、まあ、うん(そっと閉じ

ここはやはり、1960年代の地球から若者を連れてくるぐらいしないと……

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バッタを倒しにアフリカへ

『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎,光文社新書)
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039899

本書は、人類を救うため、そして、自身の夢を叶えるために、若い博士が単身サハラ砂漠に乗り込み、バッタと大人の事情を相手に繰り広げた死闘の日々を綴った一冊である。 (まえがきより)


ネットで話題に上っていたので買ってみましたが、ちょっと読み始めたら、もう一気でした。
バッタの学術的な解説よりは、異文化の体験記、ポスドクの奮闘記でありましたが、適度な自虐と、適度な人情噺に、すっかり引き込まれてしまいました。おもしろい(そして、この文章力をつけた経緯がまたおもしろい)。

だいたい、序盤から
>ちなみに、この本では度々余談をして話の腰を折りまくる予定です
という具合だし、中盤の
>バッタの馬鹿! もう知らない!
には、ニヤニヤを禁じ得ない。非っ常ーに、私好み。

そして、終盤、ネタバレしないように伏せますが、
>p.261 8-9行
>同 12行
の連打には、まいりました。いや、状況としては深刻なんですけど、元ネタがわかってしまったので、吹いてしまいます。草不可避。
(ついでに言えば、写真のキャプションもちょいちょいユニークで、p.260のなんか、もう)

そんなこんなで、たいへん楽しませていただきました。
読み終えてみれば、「天は自ら助くる者を助く」だなあ、という感想もありますが、この先、存分に研究できることを陰ながらお祈りいたします。
筆者の活躍がアフリカを救うと信じて…!



研究者ということで、ついでにこれも。

『研究するって面白い!』(伊藤由佳理編著,岩波ジュニア新書)
https://www.iwanami.co.jp/book/b266377.html

女性科学者による研究案内。中高生向け。表紙が賀茂川さん(京都市営地下鉄の方)だー、ということで手に取ったのですが、中身も割と興味深いものでした(知らない方面ほど興味が湧く)。人生いろいろですね。

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王様の仕立て屋

ワタクシの好きなマンガ、

『王様の仕立て屋』(大河原遁,ヤングジャンプコミックス)
https://www.cmoa.jp/title/37070/vol/1/

が期間限定無料で読めるとのこと。(Kindle版も)

ナポリ風の仮縫いを重ねる様に、例規審査を重ねたものさね。
1巻では、
>シンデレラもドレスがなくちゃ舞踏会で門前払い食っちまうんだ
 王子様の目が届く所まで自分で歩いて行って(略 (p.112)
のくだりと、
>カビ臭い技術見せてやるぜ(p.177)
のセリフが好き。いやまあ、全部好きですけどね。
この機会に、ぜひぜひ。


あと、同じくワタクシの好きなマンガ、

 エンジェル伝説(八木教広,ジャンプコミックス)
 https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028833007

もWEBで読めます。今からだと何話か欠けちゃうけど、よろしければどーぞ。

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神様がうそをつく。

『神様がうそをつく。』(尾崎かおり,アフタヌーンKC)
http://afternoon.moae.jp/lineup/187

「誰にも言わないで--」
11歳の夏。
君の秘密を、僕は守る。

転校先の学校で、同級生・理生の秘密を知ったなつる。
少年と少女の、幼い恋と冒険の物語。


これ、すごく好きなんですよ。

ネットで、おすすめマンガの記事を見ることがありますが、この作品が入っているかどうかで、信憑性を測るくらい。

ひょんなことから、少年が少女と秘密を共有することになって、それで親しくなって、でもその先に--という話。
話自体は、ネグレクトも絡んで、まあ辛い話なんですけど、悲劇の中で光る美しさ、ていうのかな、そういうものを感じます。

ネタバレなしで魅力を伝えるのが苦手なので、このへんにしておきます。
なお、長らく紹介しそびれていたので、もう店頭には並んでいないかもしれません。すまぬ。



(以下、やや踏み込んだ感想)



男の子には、「女の子を守りたい回路」がついているのだろうか。ほかの作品でも思ったのだけど。

好奇心
好意

愛。

恋というのは、相手とのつながりを持ちたいとかいう「欲」だと思うけど、
相手をまるっと受け入れるというのは、もう愛なんじゃないかな。欲を超越した。

なつるの、理生(りお)に対する感情は、もう、そういうレベルだと思う。
理生が、
>私たちの××になってくれるなんて
と言ったところにも、それが表れているような気がする。
「××」って、恋を表す言葉じゃないからね。

さておき、
子どもは子どもなりの精一杯を生きようとしている。
少なくとも、そういう話ではあります。
話の筋が合わなくても、味わいようは、あるかと。

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東雲侑子は短編小説をあいしている

ほぼ5年前に書いたものなので、最近の記事と筆致が少し違うな。(当人比)


『東雲侑子は短編小説をあいしている』(森橋ビンゴ,ファミ通文庫)。

何事にも無気力、無関心な毎日を過ごす高校生、三並英太。楽そうだからという理由だけで図書委員になった彼は、ともに委員を務める東雲侑子の熱のない静けさに、自分の空虚さに似たものを感じていた。しかし偶然彼女の秘密を知ってしまったことから、自分との違いを思い知らされる英太。だが、その秘密のために、彼女と距離を縮めることとなり、失ったはずの感情に胸を締めつけられていく…。早熟な少年少女に贈る、もどかしく苦いラブストーリー。


「もどかしく苦いラブストーリー」ですかそうですか、と手に取り。
口絵の最後、「俺は一体、東雲とどうなりたいっていうのだろう。」という引きにそそられて購入。
まあ、帯には、「正直な話、もう認めざるを得ないと思う。俺は--東雲侑子の事が好きなのだ。」と書いてあるのだけど。

ええ、本当にラブストーリーでした。
超能力も魔法もドタバタもなし。モテまくることもないし、パ○ツも見えない。
一人の少年が、だんだんと少女を好きになっていく、そんだけ。

そんだけなんだけど、くそう、なんでこんなにいいのよ!
どうしてこう、何度もページを開いては、読み返してしまうのだろう。
正直な話、もう認めざるを得ないと思う。私は--この2人を応援したいのだ。
若いっていいなあ(遠い目



(以下、読んだ人向けにもう少し感想)



各章ごとに、少しずつ変わっていく構成のために、自然と感情移入できるのでしょうね。
有美さんが、そのモノサシになっているように思います。

しかしまあ、2人の不器用さが、かわいい。
ほんと、じわじわくる。
手をにぎるだけのシーンで、ドキドキしてしまった。こういうのは、なかなかない。

反面、ラストの侑子の「ああいう暴走」は、ちょっとなーと思いました。
少年は、がんばったよ、うん。

あと、作中作である『ロミエマリガナの開かれた世界』は、うまいなあと思いました。

強いて難をいえば、この巻のラストは、なんとなくぼんやりしています。
いくつかの疑問も残ります。侑子はいつから好きだった? とか。

ただ、その辺は、次巻で語られるので、そちらで。(最終的には三部作です。)

ところで、このシリーズ、9nineの『Cross Over』がすっごくイメージ合うんですけど、どう?
(公式ならリンクを貼ってもよかろう)
https://www.youtube.com/watch?v=nx5Kwxb3MiY


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