半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

裁判と法律学

『裁判と法律学 -- 「最高裁回想録」補遺』(藤田宙靖,有斐閣)読了。
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641125810

サブタイトルのとおり、別著「最高裁回想録」の補遺となるものです。
内容は大きく二つあって、第一部は各所で行われた講演の収録、第二部は雑誌に掲載された対談の再録となります。

講演録の部分は、著者自身もまえがきで認めるように重複する部分がありますが、読みやすいものでした。
本書では、最高裁が判決を出すに当たっての考え方などについて、いろいろと語られています。本書を読んだ後では、別著の時点では、語ることをだいぶ遠慮というか自重していたのだな、と感じます。

対談の方もよいものでした。講演内容というのは、本人の語るものですから、一つの観点からの説明となりますが、対談では、聞き手が入ることで、別の角度、観点から説明させることになります。それによって、考え方がより見えるようになります。これはよかったし、おもしろかった。

特にここ、というところを選ぶのは難しいのですが、
「堀越事件」が判例変更にならない理屈(p.39~)、
「空知太神社事件」が憲法判断となった意味合い(p.106)、
などは、興味深い話でした。

それと、対談内からは、「広島市暴走族追放条例事件」の話(p.290~)。
藤田氏は反対意見だったわけですが、ここには、ちょっと苦笑い。

この事件については、私はむしろ学者の良心を正面から貫いたわけです。(中略)これは立法があまりにもひどいのですよ。こういったものをいい加減に放っておくということだと、最高裁の合憲性コントロールの権威を失う、威信を失うと、極端に言えばそうなるのかな。


これは間違いをちゃんと言って作り直させるべきだと思いました。



この本をおもしろがる人間もそう多くない気もしますが、訴訟が最高裁まで行ったときにどのような目で見られるか、ということをうかがい知るという意味では、参考になる本だと思います。おそらく、「最高裁回想録」を読んでいなくても、これだけでも読めるのではないかと思います。

付言B | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<ニュース雑感(2016/8/6) | HOME | 夏のミニ三角>>

この記事のコメント

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |