半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

国会議員を精神分析する

以前に読んだ本。

『国会議員を精神分析する』(水島広子,朝日選書)
サブタイトルが、“「ヘンな人たち」が生き残る理由”。
帯には、“どうして民主主義国家のはずの日本で、よりによってこんなにおかしな人たちばかりが政治の世界に集まるのだろうか。”とあります。

本書では、いわゆる「政治家」について、自己愛パーソナリティーを切り口に、考察がされています。
自己愛パーソナリティーについては、引用が長くなりますが、このようなものです。

(略)趣旨を変えずに簡単な文章にしてあるが、これらの九項目のうち五項目以上を満たせば「自己愛性人格障害」と診断されることになる。

1 自分は重要な人間だという誇大な感覚を持っている。
  --業績や才能を誇張したり、実際には十分な業績がないのに偉い人間だと思われて当たり前だと思っている。
2 限りない成功や権力などの空想に浸っている。
3 自分が「特別」であり、独特であり、特別な人達にしか理解されないとか、特別な人たちと関係があるべきだと信じている。
4 過剰な賞賛を求める。
  --ちょっとしたことで傷つきやすい。常に注目されちやほやされていないと気がすまない。
5 特権意識を持っている。自分は特別に有利な計らいを受けて当たり前だと思ったり、周りの人は自分の期待に従うのが当然だと思ったりしている。
  --自分の仕事は重要なので他人が譲るべきだと思っており、要求が満たされないときには激昂したりする。
6 自分自身の目的を達成するために、他人を不当に利用する。
  --それが相手の生活にどのような影響を与えるかを考えずに酷使したりする。自分の目標を助けてくれたり自己愛を満たしてくれたりする人に限ってよい関係を結ぶ。
7 他人への共感が欠けている。他人の気持ちや欲求に気づこうとしなかったり、認めようとしなかったりする。
  --自分の発言が他人を傷つけていることに気づかない。他人の気持ちや欲求に気づいたときには、それが弱さや傷つきやすさの証拠であると蔑む。自分の心配事についてはくどくどと話す。
8 嫉妬ぶかい。また、他人が自分に嫉妬していると思い込む。
  --他人の成功や所有物をねたみ、自分のほうがそれに値すると思う。他人の業績をひどくこきおろす。
9 横柄で傲慢な振る舞いをしたり、気取った、尊大な、恩着せがましい態度をとったりする。

(略)「自己愛性人格障害」と診断されるほどのケースは、確かに極端だ。(略)でも、自分が特別に重要で、他人は自分の引き立て役だというくらいにしか思えないタイプの人は、案外どこにでもいて、それなりに社会生活を送っているものだ。こんなパーソナリティーを、本書では「自己愛パーソナリティー」と呼ぶ。


「政治家」には誇大な自己愛を持っている方が多いということですが、うなづいてしまいますねー。なるほどなあ。

ほか、印象的な箇所を抜き書きすると…

「自分が、自分が」に耐えられる候補者

でも、選挙区選挙は、候補者本人が「目立ってなんぼ」の世界である。したがって、どうしても「自分が、自分が」という人が勝ち残ってくる。

人を踏みつけてでも自分が目立つことは、一般人の神経には耐えられるものではない。やはり羞恥心や罪悪感が生じるものだ。これをしゃあしゃあとやってのけるには、自己愛パーソナリティーを持っていることが必要なのだと思う。

 選挙との関係は、重要な示唆。

なぜリベラル議員は主流になれないか (引用者注.本書中のリベラル議員とは、市民派出自で、政策目的的活動をするものというイメージです。)

第二章でも少し述べたが、リベラル議員は、相手の意見をよく聞く。自分の意見を声高に主張しないので、自己愛パーソナリティー者の渦巻く永田町ではどうしても声が小さな存在になってしまう。

お人好し過ぎて出し抜かれてしまうし、ここぞというところの攻撃性や嫉妬深さにかけてしまうので、どうしても自己愛パーソナリティーの人たちの前には出ることができないのだ。


著者は、精神科医ですが、2003年の刊行当時は、現職の国会議員(民主)でした。
自ら目にした実例を交えてあるので、わかりやすく、読み物として素直におもしろかったです。
あの党はこの党は、というレッテル貼りではないことも好印象。

今回、さっと読み直してみましたが、政界地図は刊行時から変わっても、「政治家」の性向というのは変わっていないんだなと思いました。
最近目にする、あれやこれや(自主規制)も、そうか、体質なんだなあと。国に限らず、地方のあれやこれや(自主規制)もですが。

してみると、国会という場は、所論を譲らない人の集まりであるから、議論を「ぶつけあう」だけに終始すると。議論の止揚がないってことですな。
論理的に当然の帰結。ヤレヤレ


総務省顧問に水島広子氏の名を見つけたので引っ張り出してみました。
なお、あくまで本の感想であって、同氏の政治姿勢・(往時の)業績を支持する意図はありませんので、念のため。

付言B | コメント:0 | トラックバック:0 |
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