半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

改正規定の言い表し方

改正規定の基本的な言い表し方については、法制執務詳解で。(四訂p.226、新版p.184)

さて、改正規定をいうときは、一文を単位として、その全部をいうのが原則である。
ひとつの改正規定で改めたり移動したりしていても、それらの要素すべてをいう。
一部分を取り出すことは、しない。(基本的には)
もし、一部分をいう必要がある場合には、かっこ書を使って、「限る」や「除く」で特定する。

では、改め・移動し・条を加えるという3要素もあるときは、どのような表現になるだろうか。
「とし、同条の次に一条を加える改正規定」で検索してみた。

改め以下を一の改正規定としている例(スタンダード…のはずだが例は少ない)

◎自衛隊法の一部を改正する法律(昭三三・五・二三法律第百六十四号)…①
 第二十条の三第二項中「航空集団」を「航空方面隊」に、「航空集団司令」を「航空方面隊司令」に改め、同条を第二十条の四とし、同条の次に次の一条を加える。
 (管制教育団司令)
第二十条の五 略
   附 則(抄)
 第二十条の三第二項を改め、同条を第二十条の四とし、同条の次に一条を加える改正規定


同じく、改め以下を一の改正規定としている例(ただし、一部改正の一部改正での例)

◎商品取引所法の一部を改正する法律(平一六・五・一二法律第四十三号)…②
 第百三十三条に見出しとして「(兼業業務等の届出)」を付し、同条第一項中「(略)」を「(略)」に改め、第三章第一節中同条を第百九十六条とし、同条の次に次の一条を加える。
 (廃業の届出等)
第百九十七条 略
   附 則(抄)
 第百三十三条に見出しを付し、同条第一項を改め、第三章第一節中同条を第百九十六条とし、同条の次に一条を加える改正規定


ところが、一の改正規定を、改めとそれ以外とに分けている例がある。(むしろ、こちらの方が多いかも。)

◎放送法及び電波法の一部を改正する法律(平元・六・二八法律第五十五号)…③
 第五十三条の四第二項中「前項各号」の下に「(第四号を除く。)」を加え、同条を第五十三条の十とし、同条の次に次の一条を加える。
 (聴聞)
第五十三条の十一 略
   附 則(抄)
同法第五十三条の四第二項の改正規定、同条を同法第五十三条の十とし、同条の次に一条を加える改正規定
※分けたなら後半も「第五十三条の四を」としそうなものだが、繰り返しになるためか結局「同条を」になっている。以下の例でも同じ。



◎老人福祉法等の一部を改正する法律(平二・六・二九法律第五十八号)…④
 第五十三条の二中「第五十一条第一号」を「第五十一条第一号の二」に、「当該官吏」及び「当該吏員」を「当該職員」に改め、同条を第五十三条の三とし、第五十三条の次に次の一条を加える。
 第五十三条の二 略
   附 則(抄)
第七条中児童福祉法第五十条から第五十三条の二までの改正規定、同条を第五十三条の三とし、第五十三条の次に一条を加える改正規定



◎地方税法等の一部を改正する法律(平一五・三・三一法律第九号)…⑤
 第七十二条の二十三の四第一項中「(略)」を「(略)」に、…を加え、同条を第七十二条の二十四の十一とし、同条の次に次の一条を加える。
 (法人の事業税の徴収の方法)
第七十二条の二十四の十二 略
   附 則(抄)
同法第七十二条の二十三の四の改正規定、同条を同法第七十二条の二十四の十一とし、同条の次に一条を加える改正規定



◎公職選挙法の一部を改正する法律(平一八・六・一四法律第六十二号)…⑥
 第三十条の十二第二項中「、在外選挙人名簿の抄本の閲覧その他便宜の供与」を削り、同条を第三十条の十三とし、同条の次に次の一条を加える。
 (在外選挙人証交付記録簿の閲覧)
第三十条の十四 略
   附 則(抄)
第三十条の十二第二項の改正規定、同条を第三十条の十三とし、同条の次に一条を加える改正規定


ちなみに、改正規定の方で、改めとそれ以外とに分かれている例もある。

◎職業訓練法の一部を改正する法律(昭六〇・六・八法律第五十六号)…⑦
 第九十九条中「身体障害者職業訓練校」の下に「の施設及び設備」を加える。
 第九十九条を第九十八条の二とし、同条の次に次の一条を加える。
 (交付金)
第九十九条 略
   附 則(抄)
第九十九条の改正規定、同条を第九十八条の二とし、同条の次に一条を加える改正規定
※もとは別々の改正規定だが、連続するゆえ「同条を」になったかと思われる。


以上を踏まえつつ、改め・移動し・条を加えるという3要素があって、かつ、その一部分を言う例は…というと、見つけられなかった。かわりに、近いものを挙げておく。

「除く。」の例

◎沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律(平一〇・三・三一法律第二十一号)…⑧
 第十八条の二を第十八条の七とし、同条の次に次の一条を加える。
 (輸入品を携帯して出域する場合の関税の払戻し)
第十八条の八 略
   附 則(抄)
第十八条の二を第十八条の七とし、同条の次に一条を加える改正規定(第十八条の二を第十八条の七とする部分を除く。)


「限る。」の例

◎地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律(平二〇・六・一三法律第六十七号)…⑨
 第二十一条に次の二項を加える。
 第二十一条を第二十条の三とし、同条の次に次の四条を加える。
   附 則(抄)
 (施行期日)
第一条 この法律は、平成二十一年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第八条、第九条及び第二十一条の改正規定、同条を第二十条の三とし、同条の次に四条を加える改正規定(第二十条の四に係る部分に限る。)、第二十九条及び第三十四条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、第三十五条の改正規定、第四十条の次に一条を加える改正規定並びに第四十七条及び第五十条の改正規定 公布の日
 二 第二十条の三の次に四条を加える改正規定(第二十条の五から第二十一条までに係る部分に限る。) 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日
 三 略
※第二号は、もとが一の改正規定なのに一部分を取り出して規定している例。しかし、これはイレギュラーではないか? なお、その際に「同条」を具体的な条に置き換えている例でもある。




ある条の追加だけその施行期日を変えようとする場合、行いやすい方法としては、枝番で追加、あるいは二段ロケットが考えられる。改め・移動・追加が複合する改正規定は、もっぱら同時施行の場合であろう(施行期日が違う前提なら、附則で引用しやすいよう、改めとそれ以外とを分けて書いたっていいわけで)。

それでも、複合する改正規定であえてそうする必要がある場合は、原則にのっとり、一文全体を改正規定としつつ、限る・除くを用いるのがよいと思う。いきなり一部分だけ取り出して○○の改正規定(○○する改正規定)と書くのは、(実例があるとはいえ)イレギュラーであり、できれば避けたいと思う。

以上、いつか自分がそういう局面に出会わないとも限らないので下調べ。


追記(11/21)
hoti-akさん御掲載の記事を見て、見方が変わった(検証できた)点を記しておきます。
(なお、この追記での説明のため、元記事の用例に丸数字を振りました。あと、水平線以下の段落で少々修正。)

一の改正規定に、改め・移動し・条を加えるという3要素がある場合は、改めとそれ以外とに分けるのが現在の方式であるようだ。
その前提で用例を見直すと、①は古い用例、②は見出しを付す要素があるゆえの例外といえる。③~⑥は、「多いかも」というより、現在の方式がそうだという話になる。(①・②がスタンダードではない。)

⑨は、イレギュラーと思っていたが、中国残留邦人法の一部改正に同じパターンがあるということは、これも現在の方式のひとつと考えた方がいいだろう。すなわち、号建てで段階的に施行していく場合には、例外的に、「同条」の部分を具体的な条に置き換える、というものである。(どのような場合にでも置き換えてよいのではないはず。)
ただ、そうしてしまうと、改正法附則中でいう改正規定が、改正法本則には形式上ないことになるわけで、どうも気持ちが悪い。長々しくなっても、○○の改正規定(△△の部分に限る/除く)で表現する方が、自分の趣向には合うところ。(←お前の趣向など知るかと言われそうですが)


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