半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

横浜市立保育園廃止処分取消請求控訴事件・2

横浜市立保育園廃止処分取消請求控訴事件について最高裁の判断が出ました。

正直言うと、ニュースを見た瞬間は、いささかびっくりしました。
しかし、争いうるゾーンを広くとるという点では、時代の趨勢であり、やむをえないのかなあ、とも思うところです。(この辺り、D-lizさんの印象には、同意です。)

さて、いろいろと興味深い本事案ですが、ワタクシ的な気になるところを。
判決文より引用します。(強調は引用者による。)

平成9年法律第74号による児童福祉法の改正がこうした仕組みを採用したのは,女性の社会進出や就労形態の多様化に伴って,乳児保育や保育時間の延長を始めとする多様なサービスの提供が必要となった状況を踏まえ,その保育所の受入れ能力がある限り,希望どおりの入所を図らなければならないこととして,保護者の選択を制度上保障したものと解される。そして,前記のとおり,被上告人においては,保育所への入所承諾の際に,保育の実施期間が指定されることになっている。このように,被上告人における保育所の利用関係は,保護者の選択に基づき,保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり,保育の実施の解除がされない限り(同法33条の4参照),保育の実施期間が満了するまで継続するものである。そうすると,特定の保育所で現在保育を受けている児童及びその保護者は,保育の実施期間が満了するまでの間は当該保育所における保育を受けることを期待し得る法的地位を有するものということができる。


児童福祉法の改正当時、「措置から契約へ」がキャッチフレーズだったと記憶しています。
ようし、契約なら相対(あいたい)だな、理由なき不払いは退所だな、と思ったさ。
でも、違った。
自治体には、相変わらず、措置義務があるだけ。
変わったのは、措置する保育所を自治体が自由に決めるのではなくなって、保護者の希望を優先しなければならなくなった程度です。
しかし結局、保育に欠ける乳幼児がいれば、自治体はどこかで保育しなければならず、また、保護者だって、乳幼児が保育に欠ける以上、希望が叶わないなら預けないという選択にはならない(はずです)。
このような関係とすれば、保育を受けられることは法的な権利でしょうが、特定の保育所で受けられるかどうかの部分は、尊重されこそすれ、法的な権利とまではいえないのではないでしょうか。
換言すれば、保育の義務を果たすことこそが処分の本体であり、その保育の場所の変更は内容の一部変更にとどまるものである、そして、保育そのものが提供されなくなるような行為であってはじめて取消処分に相当すると思うところです。

…というのが私の認識です。同じ児童福祉法の条文を見て、ずいぶん解釈が違うものです。

さてさて、「措置から契約へ」という言葉が喧伝され、解説書等に取り込まれ、結果、裁判官の事実認定に影響したかと思うと(すなわち、ミスリードがなければあのような事実認定をするに至らず、結果、判決もなかったのではないかと思うと)、これを言った者・広めた者は、ちょっとは責任感じてほしいなあなんて思ってしまいます。(愚痴、ですかね。)

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