半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

起債はあてません

ちょっと前になりますが、某市の市民税減税のニュースで、市長が、「減税の財源に起債はあてません」のようなことを言っているのを見ました。
あてませんも何も、認められないだろう、制度的に考えて。あなたが選ぶ話ではないのだけれど?
…などと脊髄反射で思ったわけですが、政治家の言うことだしニュースでの切り取りだし、マジになってもしかたありません。
まあ、それはそれとして、減税すると起債には少なからず影響します。その辺にちょっと触れてみましょう。

まず、どのような影響か。
某市の市会だより(第117号、平成21年9月発行)から引用します。

市民税10%減税と起債の許可
【質問】市民税減税を実施した場合、起債の許可が下りず、市民サービスが低下する心配はないか。
【答弁】普通税の税率が標準税率未満であるなど一定の条件に該当する場合、市債の発行に当たり、総務大臣の許可を要する。今後、市民税減税に伴い、市債の発行に総務大臣の許可が必要となった場合、許可の基準として、徹底した行財政改革や財政健全化の状況、さらに「普通税の税率が標準税率未満であることによる世代間の負担の公平への影響、そして地方税の収入確保の状況等を勘案する」ことが加えられている。これらの取り組みについて、総務省に丁寧に説明し、市債の発行が許可されるよう努力したい。


起債が許可されないとなると、費用がいっときに集中しますから、その分ほかのサービスの財源に事欠くことになります。市としては穏やかではいられません。

ところで、自治体は、全く自由に借金しているわけではありません。
目的的には、公共施設等のためにするものであり、単なる財源補填のためにはできません。
手続的には、基本、国の「同意」が必要ということになっています。そして、財政状況が芳しくなかったりすると、「同意」ではなく「許可」が必要になります。税率が標準税率未満である場合もまた、「許可」を要します。
(それぞれ、細かく話せばいろいろありますが、単純化のため端折っています。)

税率が標準税率未満である場合の規定はこちら。

地方財政法第五条の四 略
2・3 略
4 普通税(地方消費税、道府県たばこ税、市町村たばこ税、鉱区税、特別土地保有税及び法定外普通税を除く。)の税率のいずれかが標準税率未満である地方公共団体(第一項各号に掲げるものを除く。)は、第五条第五号に規定する経費の財源とする地方債を起こし、又は起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更しようとする場合は、政令で定めるところにより、総務大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。この場合においては、前条第一項の規定による協議をすることを要しない。
5~7 略

第五条第五号はこう。

第五条 地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもつて、その財源としなければならない。ただし、次に掲げる場合においては、地方債をもつてその財源とすることができる。
一~四 略
五 学校その他の文教施設、保育所その他の厚生施設、消防施設、道路、河川、港湾その他の土木施設等の公共施設又は公用施設の建設事業費(-略-)及び公共用若しくは公用に供する土地又はその代替地としてあらかじめ取得する土地の購入費(-略-)の財源とする場合


これに対し、国は、許可するかどうかについて基準を定めています。
平成21年度地方債同意等基準

第三 許可団体に係る許可基準
五 標準税率未満による許可団体
 普通税の税率が標準税率未満の地方公共団体については、地方公共団体の歳出は地方債以外の歳入をもってその財源としなければならないとする地財法第5条本文の趣旨を踏まえ、当該普通税の税率が標準税率未満であることによる世代間の負担の公平への影響や地方税収の確保の状況等を勘案して、地方債を許可するものとする。


これだけだと、どうなるかは読みにくい。

ちなみに、「世代間の負担の公平」というのは、例えば、施設を造る費用について、造る年度だけ税金が高くて他の年度は負担しないというより、分割払いにして実際に使う年度が負担する方が受益と負担に見合う、といった考え方です。

こうした考え方からすれば、減税する・しないにかかわらず、起債する理由はあるというもの。
とはいえ、標準的な税収で歳入が足りるなら、起債しない、又は起債額を抑えることもできるはず。自ら税収を手放しておいて借金したいもないだろう、といえばそれも理。
それに、減税される世代は他の世代より負担が軽くなるけれど、これが後の世代への負担の先送りにならないか。こうしたことも検討されるのでしょう。

さて、どうなりますか。(現大臣だと、許可しないとは言わないかな?)

なお、仮に許可されないとしても、許可されない可能性は承知で減税するのだから、あとで見苦しい態度はとらないでほしいものです。おっと、これは余計かな。

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