半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

理由の提示

tihoujitiさんが

 行政処分について、その基準への当てはめ方を明示する必要性があるようです。
 http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20110608/p1

で取り上げていた判決 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110607135658.pdf を私も読みました。

この裁判では、

行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。

という見地に立って、

・本件処分基準は,…多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
・そうすると,…本件処分基準の適用関係が示されなければ,…どのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難
・これを本件について見ると,…本件処分基準の適用関係が全く示されておらず,…いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。
・このような本件の事情の下においては,…理由提示としては十分でない

という展開となりました。

理由の不備で取消しありはキツイなあ、という声もあるでしょうが、うーん、抗弁権、防御権の重視、ということなんでしょうか。むしろ、「理由になってない」という評価なのかな、これは。
実務上では、今後、要件が具体的にわかるよう、気をつける必要がありそうです。

ただ、判決では、「どの程度の理由を提示すべきか」については、「総合考慮してこれを決定」としており、「須らく書くべし」と言っているわけではありません。
処分基準が単純で事実関係にも紛れもないような処分であれば、過剰に心配する必要はないかもしれません。

なお、「たら・れば」ですが、この事件では、処分通知において原因となる建物を複数示していたようですが、仮に、
  処分の原因となる建物が1棟で、かつ、当該建物の危険性が明白
であったなら、適用関係がわからない、なんてことにはならなかったかもしれません。(かも、ですけどね)

さて、学者さんたちは、どういう評価をなさるかな。


あと、ついでですが、先日、勉強法の話で判決文を読むことを挙げましたけど、判決文をお勧めするのは、
  なにをもって、「そうすると」とか「~とまではいえない」となるのか
  裁判官ってこういう見方をするのか
というのがわかるからです。最初は、誰かのやり方を見てみないと、わからないじゃないですか。
てなわけで、早速、読んでみませんか?

一言L | コメント:2 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

だってぇー、悪いことしてるのはぁ、ジジツなんですけど
ぉー
と頭の悪そうなコメントしたくなりますが、こと「手続法」において、目的は手段を正当化しないのでしょうな
2011-06-20 Mon 00:49 | URL | kei-zu [ 編集]
そういわれると、違法に収集した証拠とか、議決を得てない支払督促とかも、思い浮かびますね。
2011-06-20 Mon 23:19 | URL | 半鐘 [ 編集]

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