半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

最高裁回想録

『最高裁回想録』(藤田宙靖,有斐閣)読了。

正直、少しお高いので迷ったのですが、結局は購入。
読んでみれば、確かにこれは面白かったです。

最高裁は、私からすれば主要な判決文くらいしか接点がなく、普段は何をしてるかなんて考えたこともありませんでしたが、実はものすごく仕事があるとのこと。
日常における忙しさ(「せわしない」とは逆の性質のもの)に関し、

「あなた、懲役に服している囚人や、戦場で戦っている兵士に対して、お忙しいでしょう、と聞きますか?」と問い返したものであった。

とのくだりは印象的。

近時の事件に関しての章では、「一票の較差」問題についてtihoujitiさんが書かれていた、
 国会議員は100回読むべし
に激しく同意。著者の、第五節・4(p.115)のまとめかたは、実に秀逸です。

学問と実務の違いをいう第四章も、中にいた人ならではの所感であり、参考になります。
思うに人は、裁判に対して真理の探求とか正義の実現とかを求めてしまうのでしょうが、裁判は、神様でも水戸黄門でもないのだなとあらためて感じました。最高裁も、あくまで(あるいは、所詮)、「裁判所」であると。
それから、最近の判決では個別意見が活発ですが、その端緒に藤田氏が一役買っていた模様。これも、いろいろな考え方があるようですが、私は個別意見は歓迎しておりまして、ありがたく思うところです(と氏には申し上げたい。場末のブログ主ですが)。


ところでこの本、手記は一冊の半分ほどでおしまいです。残りは、個別意見の収録と関与事件の一覧表。
手記についても、内容は確かに手記なのですが、引用元などの注記が妙にしっかりしていて、また巻末には索引がつくなど、形式的にはさながら論文のようであるのが、なんともユニークでした。

また、一人の裁判官の個別意見をまとめて読むというのも、なかなか乙なものですね。選挙無効訴訟に対する意見の、変遷というか歩みは、味わい深いです。
(立法府の逃げ道が徐々になくなっていってますからねぇ。いまみたいな不作為状態だと、次の選挙の違憲訴訟では、「いよいよ」かもしれません。)

付言B | コメント:0 | トラックバック:0 |
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