半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

「福祉」の呪縛

hachiro86さん が、「障害者をめぐる20冊」と題してレビューを展開されていたので、私も障害関係で一冊紹介してみたいと思います。

『「福祉」の呪縛』(櫻田淳,日本経済新聞社)

 本書の題名『「福祉」の呪縛』には、「福祉は佳きものである」ということが半ば「自明の前提」と化し、それに多くの人々が呪縛されることによって、かえって、障害のある人々に対して本当に行われなければならないことが、妨げられているのではないかという私の想いが、反映されている。また、「自助努力支援型政策の構想」という副題には、障害を抱えた人々に対して本当に行われなければならないことが、煎じ詰めれば、「障害者を納税者にする」施策に他ならないという私の信念を凝縮してある。


「福祉」は本当に佳きものか?
と問われると、戸惑う人が多いのではないでしょうか。

著者は、障害者は弱者であると一括りにする福祉に対し、疑問を投げかけます。
弱者の保護、施しで自己満足していて、福祉の内実を問うていないのではないか。
特に、障害者が社会に出て行こうとすることに対しては、何をしてきたのか?

この本が書かれた時点(1997年)で、バリアフリーという言葉が出始めのころ。
いまでこそ、ユニバーサルデザインやら、自立支援といった切り口が見られますが、
執筆当時は、相当お寒い状況であったことでしょう。

そもそも、著者自身が体の不自由を抱えており、本書の序章では、人生の節目で、とりわけ試験という場において苦労があったことが述べられています。
不自由な体で和文タイプライターを操りながら、しかし、一般と同じ試験時間で勝負していたというくだりには、言葉がありません。

福祉「だから」善い、なんてのは思考停止。そのことを教えてくれたこの本は、忘れがたい一冊となっています。

そういえば、『福祉を変える経営』(小倉昌男,日経BP社)でも、
 福祉作業所だから工賃が十分でなくても仕方ない、
 福祉作業所だから買ってください、
といった「前提」を否定していたように記憶しています。
小倉氏の取組は稀な成功例で現実はゴニョゴニョ…なのかもしれませんが、いずれにせよ、「福祉だから」の否定という点では共通するのかな。

と、そんなところで。

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この記事のコメント

こんにちは。hachiro86です。

福祉ってなんなのか。考えれば考えるほど難しい問題です。原点は何か。どこに向かっているのか。常にその2点を見失わず、矛盾を引き受けて考え続けることが、特に現場の自治体職員には必要なんでしょうね。
機会があれば読んでみたいと思います。
2014-08-02 Sat 22:30 | URL | hachiro86 [ 編集]
お出まし、ありがとうございます。

ほんと、難しいですよね。ここで返すコメントを考えていて、結局まとまらない始末です。
引き続きよろしくお願いいたします。
2014-08-04 Mon 23:51 | URL | 半鐘 [ 編集]

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