半鐘の半死半生

社会に警鐘を鳴らす…わけもなく。

センスのよい法律文章の書き方

「センスのよい法律文章の書き方」(木山泰嗣,中央経済社)

訴訟や、不服申立てに関する文書の書き方は、独特です。

規範と、事実と、当てはめとを意識して書くのが肝要と思っていますが、
このような、スーパーにドライな文章というのは、
日頃の感覚とはかなり違うので、なかなか難しいかと思います。

で、そういうことの「書き方」の本というのもあるもので、
店頭で手頃そうなのを見繕って買ってみました--というのが頭書の本。

法律文章以前の、文章としての初歩的なことも多いかな、という気もしますが、
そこがあやしい人も、ままいますので、このレベルからでもいいのかもしれません。
(例えば、言葉の統一ないし使い分けなどは、みなさん結構いいかげんだったりする)

そもそものトレーニングとしては、判決文をいくつも読んで、
その思考パターンや論理展開に慣れることが基本だと思いますが、
こういう本を使って勘どころを学ぶのも有効かもしれません。

とっつきやすいという点では、まあ、いい本だと思います。
その意味では、原課や、審理員候補者の職員にも、いいかもです。

なくてもよし、あってもよし、的なものですが、
参考書が欲しい方は、自分に合いそうなものを探してみてはいかがでしょうか。

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裁判と法律学

『裁判と法律学 -- 「最高裁回想録」補遺』(藤田宙靖,有斐閣)読了。
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641125810

サブタイトルのとおり、別著「最高裁回想録」の補遺となるものです。
内容は大きく二つあって、第一部は各所で行われた講演の収録、第二部は雑誌に掲載された対談の再録となります。

講演録の部分は、著者自身もまえがきで認めるように重複する部分がありますが、読みやすいものでした。
本書では、最高裁が判決を出すに当たっての考え方などについて、いろいろと語られています。本書を読んだ後では、別著の時点では、語ることをだいぶ遠慮というか自重していたのだな、と感じます。

対談の方もよいものでした。講演内容というのは、本人の語るものですから、一つの観点からの説明となりますが、対談では、聞き手が入ることで、別の角度、観点から説明させることになります。それによって、考え方がより見えるようになります。これはよかったし、おもしろかった。

特にここ、というところを選ぶのは難しいのですが、
「堀越事件」が判例変更にならない理屈(p.39~)、
「空知太神社事件」が憲法判断となった意味合い(p.106)、
などは、興味深い話でした。

それと、対談内からは、「広島市暴走族追放条例事件」の話(p.290~)。
藤田氏は反対意見だったわけですが、ここには、ちょっと苦笑い。

この事件については、私はむしろ学者の良心を正面から貫いたわけです。(中略)これは立法があまりにもひどいのですよ。こういったものをいい加減に放っておくということだと、最高裁の合憲性コントロールの権威を失う、威信を失うと、極端に言えばそうなるのかな。


これは間違いをちゃんと言って作り直させるべきだと思いました。



この本をおもしろがる人間もそう多くない気もしますが、訴訟が最高裁まで行ったときにどのような目で見られるか、ということをうかがい知るという意味では、参考になる本だと思います。おそらく、「最高裁回想録」を読んでいなくても、これだけでも読めるのではないかと思います。

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夜廻り猫

む、涙の匂い

「夜廻り猫」(深谷かおる,KADOKAWA/エンターブレイン)
が本になっていました。

ツイッターで投稿されていたのを見て以来好きだったので、
もう、一も二もなく購入。

どんな作品かというと、こんな感じ(PIXIV版)。

 夜廻り猫
 http://www.pixiv.net/search.php?word=%E5%A4%9C%E5%BB%BB%E3%82%8A%E7%8C%AB

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地方議会のズレの構造

kei-zuさんのとこで、議会関連の書籍 が紹介されていましたが、
先日、書店でこんな本を見かけました。

地方議会のズレの構造(吉田利宏,三省堂)
https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/roppou/gyosei_kyouiku/tihogikazure/

吉田利宏さんじゃないですかー。
手に取ってパラパラとめくってみるに、ツボを押さえた内容で、良書だと思います。
このテーマで、評論家ポジションでなしに、的確に語れるのは、吉田さんならではないか。
自治体職員からすると、手の出せない領域についての話ですので、その意味では実用的ではありませんが、住民として、また、教養としては、十分読み応えのある本だと思います。

追記(7/8) ……などと思いながら棚に戻したのであった(オイコラ

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兎が二匹

こういうのを見たのよ。

 https://twitter.com/kinkodoy/status/735092747825086465

 >このマンガは永遠に売りたい作品です。
 >全2巻なのにこの世界感はムゲン。

興味湧くよね。というわけで買ってきました。(金高堂さんでではありませんが)

確かにすごかった。推す気持ち、わかる。
感想が言葉にならない。切ない? 虚しい? 美しい? いや、無理に言葉にすることで枠にはめたくない。
えらく重い話なので(さわやかでも、ほんわかでもない)、お勧めしにくいですが、私は読んでよかった。

なお、ググると試し読みもありますが、グロいシーンがあるので、苦手な方は気をつけて、と言っておきます。



一方、先日、「町田くんの世界」(安藤ゆき,マーガレットコミックス)に手を出しました。
これはね、癒し系です。ギスギスした社会に疲れている方には、よいのではないでしょうか。

ん? 最近紹介しているの、メガネ男子ばっかだな。



そうそう、ネットで出会った本といえば、

 「3びきのかわいいオオカミ」(冨山房)

も、よかったですよ。

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AIの遺電子

いまさらになりますが、今年も3/31朝の官報に、税制改正関連法は載ってませんでした。
それが載った特別号外(13号)が出たのは、20時前くらい。ま、昨年よりは早いですね。
御担当・御関係のみなさまにおかれましては、おつかれさまでございます。

しかし、後で知ったのですが、やはり4/1から施行されるはずの、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律 が、まだ載っていなかったそうで。
こちらの載った特別号外(14号)は、じゃあ、いつ出たんでしょうね? いやあ、怖い怖い。

話は変わって、Eテレ2355、丸川シャーロットさん卒業。寂しす。



さて、本題。

「AIの遺電子」(山田胡瓜,少年チャンピオンコミックス)読了。
 公式は こちら
 試し読みは こっち

ヒューマノイド(人工知性)が人間と同じように扱われていて、国民の1割にもなっているという世界のお話。

久々に、SFらしいSFを読んだ、という気がします。
ここでいう“SFらしい”というのは、既成の概念を揺るがしてくれること。
いままでとは違った感覚で考えることを要求される、モヤモヤした感じをもらえます。
逆の例としては、宇宙が舞台であっても、人間ドラマとしてはいまと変わらないのなら、
そういうモヤモヤ感は味わえないわけです。

第1話からして、あれですからね。ネタバレ自重でぼかしますけど、
某有名ネズミとか、「くらやみの速さはどれくらい」に通じる話をやってる。

というわけで、私は非常に気に入りました。実写ドラマ化されてもおもしろそう(余計なことしなければ)。

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僕と君の大切な話

『僕と君の大切な話』(ろびこ,講談社KCデザート) 試し読み

 高校生男女による会話劇。おもしろかった。こういうの好きだー。
 ちょっと説明に困るおもしろみですね。掛け合いの妙味? とでも言えばいいんでしょうか。男女の感性の違いが、利いてます。
 ともあれ、今後の二人の仲の進展について注視してまいりたい。

あわせて、

『大正処女御伽話』(桐丘さな,集英社ジャンプコミックス) 試し読み

 タイショウオトメオトギバナシ、と読みます。
 将来を失った青年と、世話役にあてがわれた少女の物語。
 ちょうど、自分が厭世気分どっぷりなこともあって、気に入りました。
 こんな都合のいい女子なんていないよ、というツッコミを振り切っているレベルにいますね、ヒロイン。それはもう、血を吐きたくなるほどに。
 ここは、素直に癒されておきましょう。

『天地明察』(原作 冲方丁 漫画 槇えびし,講談社アフタヌーンKC) 試し読み

 紹介しそびれていた作品。漫画版としては昨年末に9巻が出て完結です。
 実に読み応えのある作品でした。絵柄も、マッチしていたと思います。
 改暦という大事業に取り組んだ男の物語。ある意味、運命に魅入られた人の物語、なわけですが、ほわっとしていながら、いかにも人に好かれそうな、いい人が描かれています。 
 で、そういう主人公が、いろんな人から、託され、見込まれていくのですが、そこに、熱いものがあります。主人公が応える「必至」、いい言葉です。
 また、序盤の、才覚ある人にあこがれ、伍したいという気持ちは、例規の仕事に就いたときの自分と重なったところがあります。そして、終盤で解かれる「追われる歓び」にも。低いレベルなりに、私も孤独だ。
 ええと。とにかく、いい作品です。お勧め!



re:スッキリわかる! 地方自治法のきほん
http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20160318

 すごいなあ、3冊目ですか。御出版おめでとうございます。買います。

新・法令解釈・作成の常識

 吉田利宏さんが法学セミナーで連載されていた「新・法令解釈・作成の常識」が最終回。
 おつかれさまでした & ありがとうございました。
 吉田版のいいところはですね、法律だけでなく、条例も交えていること。そこが、林版との違い、かつ、我々(自治体職員)が読むべき理由です。
 刊行が待たれます。(その暁には)買います。

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萌え家電

『萌え家電』(大和田茂,ディスカバー携書)
http://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799316870 読了。

萌えネタを拾っている人間としては、読んでおくべきかな、と思って読みました。
読んでみたら、ルンバ、AIBO、siri、初音ミク等のポイントを拾いつつ、家電製品とのインターフェースを語るという、普通に真面目な本で、これはこれで、なかなかよかったです。
日本人の擬人化との親和性(法律の擬人化も出てた!)、人工知能学会誌の表紙問題、「不気味の谷」といった話題にも触れられており、広くカバーしているのもよいところではないかと。(ついでにいえば、吉田戦車の『いじめてくん』が紹介されており、びっくり)
こうした方面の研究や活動の先に、“ベルトさん”も現れるのかもしれませんね。

特段ケチをつけるところもないのですが、おうちハックの作品紹介のところで(p.148)、
「俺の部屋がこんなに賢いわけがない」には元ネタを説明して、
「ミクさん召喚装置-2次元に出会いを求めるのは間違っているだろうか」には説明がないのは、バランスがとれないので、なんとかしてもいいんじゃないかと思います。

最後に、これ、思い出したので貼っておきます。
https://twitter.com/str5go/status/530486888545914880

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冬物語

作家のタニス・リーさんの訃報に接する。
私をファンタシー小説の世界に決定的に誘ったのが、この方の作品でした。

というわけで、思い出の『冬物語』(ハヤカワ文庫FT)に触れておく次第。

表題作「冬物語」と「アヴィリスの妖杯」の中編2作収録。

まさにファンタシーらしい話の「アヴィリスの妖杯」も傑作ですが、
ファンタシーにしてファンタシーに非ずともいえる「冬物語」に、当時、完全に魅了されました。
ラストシーンの味わいは格別、という人は少なくないはず。
(思いのたけを解き放ちたいところだけど予断を与えたくないので自重)

いまは、すっかりツン読(作家買いはする)になってしまいましたが、そろそろ読まなくちゃだわ……

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「税務判例」を読もう!

『「税務判例」を読もう! 判決文から身につくプロの法律文章読解力』(木山 泰嗣,ぎょうせい)を読んでみました。

判決文は、いろいろ読むうちにそこそこ慣れてきましたが、そういえば、「判決文の読み方についての本」は読んだことがなかったなー、ということで手を出した次第です。

判決文を部分々々に分けて、順次解説していくというスタイルで、基礎的なところから説明されていて、わかりやすいと思います。
また、法的三段論法や、判決の射程といったことの説明もされてあります。判決文中の当事者の主張を裁判所の判断と読み違えないように、との注意も身に覚えがあるなあ。

強いて難を言えば、判決文の全文での見本は載っていないため、本書のみではイメージがつかみにくいかもしれません。何かの判決文を前にして、本書を片手に読み解いていく、そんな使い方が合いそうです。

税務判例ということですので、取り上げられている判決は税(国税)ばかりです。学ぶのに、別に税である必要はなかったのですが、読み終わってみると、規範と当てはめという思考をするには、憲法判例を題材とするよりむしろ向いている気もしています。

初心者には、割といい本なのではないでしょうか。

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